本レギュレーションは、Intel LGA 1155 プラットフォームにおいて、大型CPUクーラーの冷却性能を検証・比較するために策定したものです。本レギュレーションでは比較対象となるCPUクーラー以外の機材に同一のものを使用することで、CPUクーラーの性能を相対的に比較します。
レギュレーションの趣旨について
本レギュレーションは、CPUクーラーのヒートシンク性能の比較に重点を置いた内容となっています。そのため、ヒートシンク性能以外にCPU温度を左右しうる要素(エアフロー、グリスなど)についてはできる限り排除した検証内容となっています。
このため、特定のPCケースに収めてCPUクーラーの検証を行った場合、本レギュレーションに沿った検証結果とは異なる傾向のデータとなる場合があります。よって、本レギュレーションに沿った検証データは、ケース(およびエアフロー)に最適なCPUクーラーを検討するにあたって参考とするには不向きなデータとなります。
より性能の高いCPUクーラーをベースに、最適なエアフローを構築することでCPU温度を抑えるという考え方が、実際にPCを組み立てるにあたって本レギュレーションの趣旨に近い考え方といえます。
本レギュレーションでは、CPUクーラー以外の環境を統一した環境でCPU・メモリへの負荷テストを行い、その際測定された各部温度を比較することでCPUクーラーの冷却性能を測定します。
検証の主な内容は以下の通りです。
・検証は室温28.0℃±0.5℃の範囲内で実施する。
・検証の際に使用するグリスはOCZ Freeze Extremeに統一する。
・「CPU」「CPU-Core」「VRM-B」「VRM-T」「MEM-A2」「MEM-B2」の6項目の温度を測定する。
・負荷テストにはTripcode ExplorerとMem Test 4.0を使用する。
・負荷テストを開始してから15分後の各部温度をLoad時の結果として記録する。
・負荷テストを停止してから10分後の各部温度をIdle時の結果として記録する。
・CPUの発熱量を「標準設定」「常用OC設定」「高発熱設定」の三段階に調整して検証す。
・レギュレーションで定めたファンのうち、取り付け可能なものとの組み合わせで検証する。
・特定の条件で取り付け方向および縦置き・横置き時のパフォーマンス変化を検証する。
CPU |
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マザーボード |
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メモリ |
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ビデオカード |
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HDD |
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電源 |
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ケース |
無し (バラック組み)
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OS |
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温度計 |
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グリス |
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120mm角ファン |
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Φ140mmファン |
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140mm角ファン |
CPU |
目的:CPU温度の測定
測定方法:ASUS『AI Suite II』(ソフトウェア)
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CPU-Core |
目的:CPU温度の測定(参考値)
測定方法:CPUID『HWMonitor 1.17.1』(ソフトウェア)
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VRM-A |
目的:電源回路(IOポート側)の温度測定
測定方法:Scythe『どこでも温度計2』(実測)
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VRM-B |
目的:電源回路(基板上部)の温度測定
測定方法:Scythe『どこでも温度計2』(実測)
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MEM-A2 |
目的:メモリ温度(SLOT-A2)の測定
測定方法:Scythe『どこでも温度計2』(実測)
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MEM-B2 |
目的:メモリ温度(SLOT-B2)の測定
測定方法:Scythe『どこでも温度計2』(実測)
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標準設定 |
常用OC設定 |
高発熱設定 |
CPUクロック | 3.4GHz (Idle:1.6GHz) |
4.6GHz | 5.0GHz |
BCLK × CPU倍率 | 100MHz×34 (Idle:100MHz×16) |
100MHz×46 | 100MHz×50 |
CPU Voltage (Idle ⇔ Load) |
Auto (0.992V ⇔ 1.136V) |
1.300V (1.288V ⇔ 1.312V) |
1.435V (1.424V ⇔ 1.456V) |
Load-Line Calibration | Auto | Extreme | Extreme |
Internal PLL Overvoltage | Disabled | Disabled | Enabled |
Hyper-Threading Technology | ON | ON | ON |
Turbo Boost Technology | OFF | OFF | OFF |
C1E & EIST | ON | OFF | OFF |
メモリクロック | DDR3-2133 | ||
メモリレイテンシ | 9-11-9-28-2T | ||
メモリ電圧 | 1.60V | ||
VCCIO Voltage | 1.150V | ||
検証用ファン | CPUクーラー付属ファン 120mm角 ・S-FLEX 800rpm ・X-FAN 1200rpm ・X-FAN 1700rpm Φ140mm ・風丸2 800rpm ・風丸2 1200rpm 140mm角 ・GlobeFan 900rpm ・GlobeFan 1200rpm ・GlobeFan 1500rpm |
CPUクーラー付属ファン 120mm角 ・S-FLEX 800rpm ・X-FAN 1200rpm ・X-FAN 1700rpm ・X-FAN 2400rpm Φ140mm ・風丸2 800rpm ・風丸2 1200rpm ・風丸2 1700rpm 140mm角 ・GlobeFan 900rpm ・GlobeFan 1200rpm ・GlobeFan 1500rpm ・GlobeFan 2000rpm |
CPUクーラー付属ファン 120mm角 ・X-FAN 1700rpm ・X-FAN 2400rpm ・UltraKaze 3000rpm Φ140mm ・風丸2 1700rpm 140mm角 ・GlobeFan 1500rpm ・GlobeFan 2000rpm |
温度データについて
本レギュレーションに沿って検証した温度データは、本レギュレーションで使用した機材でのみ比較可能なデータとなります。
異なる機材を用いた場合、「パーツ毎の個体差」「計測器の誤差」「BIOSのバージョン」などにより、直接比較することのできないデータとなります。同一型番のパーツを用いても、個体差の存在を無視できないので同様のことが言えます。
また、各温度データを測定している機器およびソフトウェア間についても、数値の互換性はありません。これは、ソフトウェア計測や実測に使っている測定器にトレーサビリティがないため、それぞれの機器が示す1℃が本来の1℃である保証がないためです。よって、測定器が異なるCPU温度と室温を比較し、室温+○○℃といった計算に温度データを使うことはできません。
温度データの単位には測定器が示す「℃」を用いていますが、あくまでベンチマークスコア的な数値であるとお考えください。
CPUの発熱量を三段階に調整する理由について
本レギュレーションの検証対象となる大型CPUクーラーは、CPUの定格運用時にCPU温度を引き下げることのみならず、CPUをオーバークロックした際に増加する発熱を抑え、安定動作させるための手段としても期待される製品です。
そのため、本レギュレーションではCPUの定格動作に近い「標準設定」、常用が狙えるレベルでCPUをオーバークロックした「常用OC設定」、空冷の限界に近い発熱量に調整した「高発熱設定」の三段階に分けて検証を行います。発熱量の増加に対してヒートシンクがどこまで対応できるかを確認することが目的です。
→各設定の詳細についてはUEFI設定でご確認ください。
CPU周辺コンポーネントの温度を測定する理由について
本レギュレーションではCPUのみでなく、周辺コンポーネントの温度も測定して比較します。測定にはScytheのデジタル温度計『どこでも温度計2』を利用し、周辺コンポーネントに取り付けられたヒートシンクの温度を実測して比較を行います。
周辺コンポーネントの温度比較は、本レギュレーションの趣旨であるヒートシンク性能の比較からは逸れた内容ですが、トップフロー型CPUクーラーのように、周辺コンポーネントの冷却を考慮して設計されている製品がありますので、参考データとして比較することにしております。