TDP 220W対応を謳うThermaltakeの冷却魂!
Thermaltakeの『Frio』は、TDP 220Wに対応すると謳われるハイエンドサイドフロー型CPUクーラーです。冷却魂という別名を与えられていることからも、 『Frio』の冷却性能に対するThermaltakeの自信が伺えます。
標準で付属するリテンションは、Intel LGA 775/1156/1366およびAMD Socket AM2/AM2+/AM3をサポートしています。また、ファンコントローラを備えた120mm角25mm厚ファンが2基同梱されており、標準ファンのみでデュアルファン構成をとることが出来る仕様となっています。
その他、『Frio』の大体のスペックは以下の通りです。
製品名 |
Frio (冷却魂)
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型番 |
CLP0564
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形状 |
サイドフロー型(空冷)
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本体寸法 |
98(D)×139(W)×165(H)mm (ファン1基搭載時)
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ベース部寸法 |
36×48mm(実測)
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ヒートパイプ |
8mm径×5本
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放熱フィン数 |
48枚
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放熱フィン厚 |
0.5mm(実測)
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本体重量 |
1042g(ファン付き)
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対応ファン |
120mm角25mm厚(リブ無し)×2基
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付属ファン |
120mm角25mm厚ファン×2基
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電源プラグ:3pin(ファンコントローラ付き) |
回転数:1200~2500 rpm
風量:?~101.6CFM
騒音:20~43dBA
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ファン固定具 |
ゴムブッシュ×8個(ファン2基分)
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対応TDP |
220W
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対応ソケット |
Intel:LGA 775/1156/1366
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3
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固定方法 |
Intel:バックプレート+ネジ止め
AMD:バックプレート+ネジ止め
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『Frio』には取り付けリテンションが数多く同梱されています。これはソケット間での共通パーツが少ない為ですが、ソケット毎に袋で小分けされているので、説明書を読めばどれを使えば良いのか分からないという事態には陥らないかと思われます。
CPUメーカー(特にIntel)がソケットを変える度にCPUクーラーの取り付け穴の位置を変更する為、マルチソケットをサポートする為にリテンションパーツの数が増えてしまうのは仕方ない面は確かにあります。ただ、もう少し共通化を進めても良いような気はしますね。無論、非対応にするよりは断然良い対応ではあるのですが…。
構造はオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラー
『Frio』の構造は、ベース面がCPUから受け取った熱を5本の8mm径ヒートパイプによって2ブロックの放熱部に送り、ファンの風を受けて放熱するというものです。見た目がちょっと派手ですが、構造的にはオーソドックスなサイドフロー型CPUクーラーで、デュアルファン時はファンでヒートシンクをサンドする形になります。
ヒートシンクの全高は165mmとなっていますが、これはThermalright『TRue Black 120』の160.5mmより5mmほど高く、大型サイドフロー型CPUクーラーの中ではかなり高い部類に入ります。たった5mmではありますが、『TRue Black 120』が収まるケースであっても『Frio』は収まらないという場合があり得る点には注意が必要です。ちなみに、私の手持ちの製品の中では二番目に背が高いですね。(最も背が高いのはT-Shooterの170mm)
Prolimatech Megahalemsとの高さ比較
『Frio』のベース面は、純銅製の板にニッケルメッキ処理が施されたものです。表面はメッキ処理によりある程度光沢のある仕上がりになっていますが、フライスで仕上げたような切削痕が残っているためベース上に置いたネジの輪郭がハッキリと分かるような鏡面にはなっていません。
銅製ベースの仕上げが美しいThermaltakeにしてはやや粗い仕上げのようにも感じますが、大きな凹凸がある訳ではないので気にする必要は無いでしょう。また、ベース面そのものの平面はしっかり出ているようで、スケールを当ててチェックしてもスキマを確認することが出来ませんでした。
ベース部とヒートパイプの接続部分に関しては、ヒートパイプを潰さないようベース部側に溝を作った上でろう付けされています。ベース面が鏡面仕上げで無いことが気になる方もおられるかもしれませんが、個人的には『Frio』のベース部分はよく作られていると思います。
『Frio』の付属ファンは、ファン自体に接続されているボリュームを調整することで、回転数を1200rpmから2500rpmまで制御可能な120mm角25mm厚ファンで、配色はThermaltakeの「桜扇シリーズ」に似ていますが、羽の形状はオーソドックスなものとなっています。
ボリュームコントローラによって回転数を広い範囲で調整可能なオリジナルファンではありますが、スペック上の最大風量は101.6CFMと回転数の割には少なめです。また、動作音も20~43dBAとされている通り、最小回転に絞ってもそこまで静かになるという訳ではありません。
また、ボリュームコントローラのケーブルは短く、ケース外まで伸ばして調整が出来るというタイプでは無いので、回転数の融通は利くものの、そこまで優秀な付属ファンでは無いように感じます。
ファンは専用のファンアダプタとゴムブッシュを使って取り付ける仕様となっています。ゴムブッシュは120mm角ファンでリブ無しタイプの製品であれば、純正ファン以外でも取り付けられる仕様となっているので、もし付属ファンに満足出来ない場合はファンの交換も可能です。
まとめ ~ヒートシンクはハイエンドCPUクーラーらしさが感じられる出来~
普段は性能云々よりも見た目に重点を置いた製品が多い印象のあるThermaltakeですが、『Frio』の作りはハイエンドCPUクーラーらしさを感じられる丁寧なものとなっています。伊達に冷却魂の名を与えられている訳では無いようですね。
現在『Frio』の実売価格は7,000~8,000円程度となっていますが、標準で2基のファンが同梱されていることを考えると、7,000円前後で買えるのであればそこそこお買い得感はありそうです。もちろん、これは性能が伴っての話ですが…。
『Frio』のヒートシンク自体はハイエンドCPUクーラーらしさを感じる洗練されたデザインですが、それを覆うカバーが用意されている辺り、ビジュアルに拘りのあるThermaltakeらしさも感じられる面白いCPUクーラーであると思います。
あとは、見た目とその名に違わぬ冷却性能を発揮してくれるか否かですね。