【Coolink Corator DS】 First Impression│MaterialisticA -マテリアリスティカ-

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First Impression:製品概要

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Coolinkのサイドフロー型CPUクーラー

 『Corator DS』はCoolink最新のCPUクーラーで、放熱フィンと放熱フィンの間にファンを設置し、一つのファンの吸気と排気の両方を使って放熱を行うタイプのサイドフロー型CPUクーラーです。 Noctuaの『NH-D14』やTuniqの『Tower 120 Extreme』などと似たようなタイプの製品ですね。 

 標準で付属するリテンションは、Intel LGA 775/1156/1366およびAMD Socket AM2/AM2+/AM3をサポートしています。また、PWM制御に対応した120mm角25mm厚ファンが1基同梱されており、別途ファンを購入しなくても利用することが可能です。

その他、『Corator DS』の大体のスペックは以下の通りです。

製品名
Corator DS
形状
サイドフロー型(空冷)
本体寸法
121(D)×140(W)×155(H)mm
ベース部寸法
40×49mm(実測)
ヒートパイプ
8mm径×4本
放熱フィン数
30枚+40枚
放熱フィン厚
0.5mm(実測)
本体重量
1040g(ファン付き)
対応ファン
120mm角25mm厚(リブ無し)×1基
付属ファン
120mm角25mm厚ファン×1基
電源プラグ:4pin(PWM制御対応)
回転数:800~1700 rpm
風量:35.5~75.1CFM(60.4~127.6 m3/h)
騒音:8.5~27.1dBA
ファン固定具
金属製クリップ×2本(ファン1基分)
対応TDP
不明(非公開)
対応ソケット
Intel:LGA 775/1156/1366
AMD:Socket AM2/AM2+/AM3
固定方法
Intel:バックプレート+ネジ止め
AMD:バックプレート+ネジ止め

 梱包箱や梱包の仕方などはNoctuaの『NH-D14』と酷似しており、本体はもちろん各リテンションも非常に丁寧に梱包されています。Coolinkは台湾にある冷却機器専門企業Kolinkの小売ブランドで、NoctuaはKolinkとオーストリアの企業が協力して立ち上げているブランドなので、両メーカーのバックボーンは同じという訳ですね。

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 価格も中身もハイエンドなNoctua『NH-D14』のようにドライバーまで付属している訳ではありませんが、こういうしっかりした梱包やリテンションの分類は好印象ですね。マニュアルは英語のみですが、カラーで図も多く掲載されているので比較的分かりやすいと思います。






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First Impression:外観写真

2ブロックの放熱部でファンをサンド

 『Corator DS』の構造は、ベース面がCPUから受け取った熱を4本の8mm径ヒートパイプによって2ブロックの放熱部に送り、放熱部の間にサンドしたファンの吸排気を利用して放熱を行うというものです。

ヒートシンクの全高は155mmと高めですが、大型サイドフロー型CPUクーラーとしては長らく定番商品となっていたThermalright『TRue Black 120』の160.5mmより5mm低いので、高さ自体は極端にケースを選ぶほど背が高いというわけではありません。また、マザーボード上のヒートシンクとの干渉に関しては、Coolinkのサイトにかなり内容の充実した互換性リストが公開されているので、ご自分の環境で利用可能かどうかチェックされることをお勧めします。

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DPP_0356.JPG▲ Megahalems(左)との高さ比較






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新しいヒートパイプ直接地型のベース部を採用

 『Corator DS』のベース部は、一見すると銅板とアルミ板でヒートパイプをサンドしたような仕様に見えます。しかし、よく見るとCPUに接するベース面は銅板を用いている訳では無く、ヒートパイプが直接接地する仕様となっています。

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 一般的なヒートパイプ直接地型のCPUクーラーでは、銅製のヒートパイプとアルミ製のベース部が組み合わさった形になっていますが、『Corator DS』の場合はヒートパイプの間を銅で埋めています。上掲の写真はヒートパイプ部分と銅ベース部分が分かりやすいように撮影していますが、他のヒートパイプ直接地型のベース部に比べて凹凸が少ないのも特徴です。

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 ヒートパイプとベース部の段差は極めて小さく抑えられていますが、ベース面は鏡面になるまで磨かれている訳ではありません。また、スケールを当ててみた感じでは、面自体は若干凸面になっているようです。

Coolinkが意図的に凸面に加工しているかは定かではありませんが、CPUのヒートスプレッダに合わせるという目的でベース面を敢えて凸面に加工しているメーカーもありますので、もしかしたらCoolinkもそれを狙って凸面にしているのかもしれません。






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吸気側と排気側でフィン枚数の異なる放熱部

 ファンをサンドする形になっている2ブロックの放熱部ですが、吸気側と排気側で放熱フィンの枚数が異なるという珍しい仕様となっています。

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 上掲の写真をご覧いただければお分かり頂けるのではないかと思いますが、右側と左側で放熱フィンのピッチが異なっています。右側が吸気側で放熱フィンの枚数は30枚、左側が排気側で放熱フィンの枚数40枚です。

この仕様に関しては、風圧の弱い吸気側はフィンピッチを広くすることで風の通りをよくし、ファンの吸気を妨げないことを重視。一方、風圧の強い排気側はフィンピッチと放熱面積を増やすことで放熱能力を重視したものと思われます。1基のファンに最適化した仕様ということなのでしょう。

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 枚数は違うものの、吸気側・排気側とも放熱フィン自体の形状や厚み(0.5mm厚)は同じです。放熱フィン1枚1枚にCoolinkロゴと32個の点がディンプル加工されています。また、ファンに接する面の中心部分には、Noctua製品にもみられるようなノコギリ上のカットが入っています。


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 放熱フィンはヒートパイプの接続は、ヒートパイプに放熱フィンを差し込むごく一般的な仕様となっています。最上段の放熱フィンに関しては、径の細くなっているヒートパイプ末端とのスキマを埋め、抜けづらくするために接着剤のようなものが塗布されていますが、見た限りろう付けは施されていないようです。






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静音~冷却重視まで幅広くカバー出来る付属ファン

 『Corator DS』の付属ファンは、PWM制御によって回転数を800rpmから1700rpmまで制御可能なCoolinkオリジナルファン『SWiF2-120P』です。

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 単品販売もされている『SWiF2-120P』は、軸受にはハイパフォーマンス・ハイドロダイナミックベアリング(流体軸受け)を採用した静音志向のケースファンです。ノイズレベルは8.5~27.1dBAとされており、流石にフル回転時の動作音は煩いですが、最低回転時の動作音は確かに静かでした。

 一方、風量は35.5~75.1CFMとやや少なめで、フル回転時の風量は騒音から考えるとやや物足りない印象がありますね。それでも、リファレンスファンとしては融通の利く方と言えるでしょう。

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 ファンの固定は金属製クリップで行う仕様となっています。金属クリップは排気側の放熱フィンの外側に固定し、ファンに引っ掛ける形で取り付けます。このファンクリップであれば、リブ無しタイプの120mm角ファンを取り付け可能ですので、標準ファンに満足できない場合はファンの交換を行うこともできます。ただし、放熱ブロック間のスキマが狭いので、取り付け可能なファンは25mm厚までとなっています。

金属クリップは硬めでやや取り付けづらいのですが、『Corator DS』はヒートシンクをマザーボードに取り付けてからファンを取り付けることになります。ケース内に収めてから取り付けようとすると苦戦する可能性が高いので、出来ればケース外でCPUクーラーの取り付けを済ませてからケースに収めた方が良さそうです。

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 『Corator DS』のヒートシンク側には、ファンの振動で放熱フィンに伝わるのを防ぐためのシリコンシートが貼り付けられています。Noctuaの『NH-D14』に比べれば薄めですが、Coolink(というよりもKolink)が音に気を使っているのが分かる仕様ですね。






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First Impression:まとめ

まとめ ~1基のファンに最適化された静音志向のCPUクーラー~

 『Corator DS』からは、絶対的な冷却性能パフォーマンスを追及した製品というより、1基のファンをより効率的に活用する事をコンセプトにしている製品のような印象を受けました。

標準ファンは静音から冷却性能重視までカバーできるものを搭載していますが、放熱部のフィンピッチなどを鑑みると、『Corator DS』は基本的に低速ファンとの組み合わせた際のパフォーマンスを重視した静音志向のCPUクーラーのようですね。定格~定格電圧でのちょいOC程度なら、静音ファンとの組み合わせでもこなせそうな気がします。

 一方、フィンピッチが広く放熱フィンの枚数が少ないため、放熱面積はミドル~ハイエンド旧のCPUクーラーとしては少なめです。また、ヒートパイプも熱輸送能力に優れる8mm径を採用しているとは言え4本しか備えておらず、大幅な昇圧を施してOCを行う場合、放熱能力や熱輸送能力がボトルネックになってしまうかもしれません。

 細かいところをみると、放熱フィンとヒートパイプの接続部にろう付けが施されていなかったり、ヒートパイプにメッキ処理が施されていないなど、同じKolinkをバックボーンとするNoctuaの製品と比べるとややコストを優先している感じがします。とは言え、製品の梱包や付属品のまとめ方は流石ですし、従来のヒートパイプ直接地型ベース面を改良している点などから、Coolinkが積極的に新しいCPUクーラーの形を模索していることも伺えますね。


 今回サンプルを提供して下さったCoolingLabによると、『Corator DS』の想定売価は6,000円台後半を予定しているそうです。今回はファーストインプレッションですので、その価格に見合うパフォーマンスがあるか否かは冷却性能検証を行ってみるまで分かりません。

ただ、私の想像を遥かに上回るパフォーマンスを発揮しない限り、『Corator DS』は静音性という要素にどれだけコストを掛けられるのかがポイントの製品になる気がします。



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お知らせ

Coolink『Corator DS』の検証記事については、CoolingLab様より提供頂いたサンプル品を使わせて頂きました。下記条件にご了承頂いた上でサンプル品を提供下さったCoolingLab様のご理解とご協力に感謝いたします。

  • 記事内容に干渉しないこと
  • サンプル品を提供頂いたこと及び、条件にご了承頂いている旨の記載。

機材提供:CoolingLab http://www.coolinglab.com/

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製品情報&販売店情報

Coolink 『Corator DS』

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掲載日:2010/04/22

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